自分の気持ちから目を逸らし、嘘をついて、歪んだ正論を並べるのは、あたしの悪いくせだ。


流しても流しても枯れることを知らない涙までもが、自分が椿くんのことをどれほど想っているかを物語っているのだから。


だったら、拒絶されても離れちゃいけない。


でも、方法がわからないことは事実。


椿くん、椿くん。
どうしたら、話を聞いてくれる?
どうしたら、わかってくれる?


答えが返ってくることがないのはわかってても、心の中で問い続けずにはいられない。


ただただ、今ここで涙を流すしかできない自分に不甲斐なさを感じた、その時……。


――ガチャ……。


屋上のドアがゆっくりと開く。


うずくまるあたしを見るなり、屋上にやってきたその2人はホッとしたような笑顔を浮かべた。


「なずな!」


「なずなちゃん、ここにいたんだね!」


それは、あたしがやっと得られた“本当の友達”。



「スミレ……!芹香……!」



2人を目にした途端、妙な安心感からまた涙が溢れてくる。
スミレと芹香は、そんなあたしに慌てて駆け寄り、背中を撫でて慰めてくれた。