じわりと涙が浮かんでくる。
「雪と幸せにね、春風さん」
椿くんは、あたしに厳しい言葉を何回も浴びせてきたけど、それは椿くんの忠告だったこともあって、あたしに向けられる目はまだ優しかった。
だけど、今回ばかりはこたえてしまう。椿くんの目が冷えきっている。
今までなら、あたしが泣きそうになっていたら、「無駄に水分流して」って苦笑してくれるのに。
つらいよ。でも、あたしはそこまでのことをしてしまったんだ。拒絶されるのも仕方のないこと。
……彩芽も、あたしに突き放された時は、こんな気持ちだったのかな。
「……ごめんね、椿くん……」
あたしは、この誰もいない教室の中に居たたまれなくなって、廊下に飛び出した。
どうしたらいいのかわからなくて、もはやどうしようもないような気しかしなくて、今のあたしには逃げることしかできない。
どうしたら……どうしたら……。
涙が一粒一粒落ちる度に考え、そして、ある1つの結論にたどり着いた。
……もう、どうでもいいんじゃないか。