「なずな……?大丈夫か……?」
あたしは今日、雪くんに会いに来た。椿くんにちゃんと話して、仲直りをしてほしいことを伝えるために。
そうしようと思ったのは、あたしを助けてくれた椿くんに感謝してたから。
ううん、それだけじゃない。
あたしは……椿くんのことが……。
「うっ……」
涙が滝のように押し寄せてきて、あたしは苦しさのあまり胸を掴んでしゃがみこむ。
「大丈夫か?」と心配してくれる雪くんがそばにいることも忘れてしまうほど、あたしの頭の中は椿くんでいっぱいだった。
「雪くん、ごめんなさい……。あたし、雪くんの気持ちには応えられない……」
今まで、どうして気づかなかったんだろう。
あたしは、椿くんのことが好きだったんだ。
だって今、こんなにも胸が痛くて苦しくて、涙が止まらない。
『春風さん、俺と付き合って』
『好きです。だから、付き合って』
雪くんを切り捨てる言葉と一緒に、椿くんはあたしに好きだと言った。
あの時、椿くんの告白に答えてあげられていれば、こんなことにはならずに済んだのかな……。