椿くんに告白されて、雪くんにまで告白された。
こんなことは初めてで、頭がついていかない。
椿くんへの返事だってまだ考えられていないのに……。
とりあえず、この状況をどうにかしないと、公園にいる他の人達に見られてしまう。
「ゆ、雪くん、あの……」
「……何してんの」
あたしが雪くんに声をかけて離れてもらおうとした時、聞き覚えのある低い声が風を切り裂くようにまっすぐに耳に届いた。
久しぶりに耳にする声だけど、それが誰のものかはわかるほど聞いてきた声だから、あたしは嫌な予感しかしなくて動けなくなる。
その代わりに、雪くんがあたしから離れて、声がした方を振り返った。
そして、喉の奥からしぼりだしたみたいな掠れた声で、つぶやく雪くん。
「つ……椿……」
ああ、やっぱりそうだった。
さっきまで全身が熱かったはずなのに、一気に背筋に寒気が走る。
見られてしまった。雪くんに抱きしめられているところを。