手を振り、笑顔で手を振るあたし。
雪くんは、そんなあたしのほうを一度振り返って、ニカッと笑う。


「なずな、初めて会った時は考えられないぐらい、良い笑顔をするようになったよな」


「えっ……そ、そう?」


唐突に褒められて照れてしまい、あたしは雪くんの視線から逃れるように下を向く。


すると、思いも寄らない言葉が耳に届いた。


「前からだけど、今のなずなのほうがもっと好き!」


「え……」


ついこの間、椿くんから聞いたのと同じ単語が聞こえたような気がして、でもまさかとは思い、顔をあげて聞き返す。


雪くんはそれに答えるかのように、いつもの笑顔のまま、ベンチに座るあたしに覆いかぶさるようにして抱きしめてきた。


「!!」


ぎゅっと抱きしめられ、雪くんの体育着しか見えなくなる。


ドキドキしすぎて息も出来なくなるあたしに構うことなく、雪くんは耳元で囁いた。



「今日はマジでありがとう。それと……
なずなのこと本気で好きだから」