「なぁ、あいつまだサッカーやってる?」
「椿くん?うん。しばらく辞めてたみたいだけど、最近また始めたよ」
それを聞くと、雪くんはキラキラと太陽にも負けない笑顔を浮かべた。
「今度さ、なずな達のとこの学校と練習試合やることになってるんだ。だから、その日試合が終わったあと椿に全部話すよ」
「うん!」
やった。こんなにも早く、2人が一緒にサッカーをやる日がくるなんて。すごく嬉しい。
「よかったら、なずなも見に来いよな」
「いいの!?」
「当たり前だよ。なずなは俺らの恩人だ」
恩人なんてそんな……。
あたしは、椿くんにしてもらったことを返したかっただけ。
でも、あたしなんかが役に立てたなら、こんなに嬉しいことはない。
「じゃあ、俺そろそろ部活に戻るわ」
雪くんは立ち上がり、ランニング前の軽いストレッチとして足首を回す。
「うん。またね」