「椿くん、小学校の頃の雪くんの写真を、今もずっと、肌身離さず大事に持ってるんだよ」



初めてそれを見つけた時、あたしに触られたことが嫌だとでも言うように、思いきり怪訝そうな顔をされたっけ。


あの時は、あたしがこうして、2人の仲を取り持とうとすることになるとは、これっぽっちも思っていなかった。


「なずな……それマジかよ……」


あたしの言葉を聞いた雪くんは、その場にうずくまるようにして崩れ落ちた。


「雪くん?どうしたの?」


「くっそ……。めちゃくちゃ嬉しい……」


「え?」


顔をあげた雪くんは、目に涙を浮かべている。
耳まで真っ赤にして、ぐしゃぐしゃと無造作に頭を掻きむしる。



「俺もだよ……。定期入れに、あの写真を入れてるんだ」



恥ずかしそうに、でもとても嬉しさのあまり涙を流しながら、雪くんがつぶやいた。


それを聞いた瞬間、あたしまでもが泣きそうになるくらい嬉しくて。
でも、2人とも全く同じことをしてたことが面白くて。