雪くんは、それからあたしにいろんなことを話してくれた。


椿くんとの出会いや、サッカーのこと。2人で話した夢のこと。
椿くんから聞いた話と食い違うようなことはひとつもなくて、それほど2人共、大切な思い出としてそれぞれがしっかりと覚えているんだなと思った。


それなのに……こんなふうにすれ違ってしまうなんて……。


「何で、何も言わないで引越しちゃったの?」


ずっと、疑問に思っていたことを尋ねた。


普通、そこまで仲が良くて大切な友達だったのなら、椿くんだけじゃなく雪くんのほうだって一言挨拶ぐらいしていきたかっただろうに。


「……だって、悲しくなるじゃん。……どうやったって、寂しくなっちゃうじゃん」


あたしの質問に、雪くんが静かに答えてくれた。


「これから離れ離れになるって言ってさ、それでそのあと、その日まで今まで通り楽しく過ごせるかな。少なくとも俺は、どれだけ楽しくしてても、小学校を卒業したらもう椿と一緒にサッカーができないんだって考えたら、今までみたいに無邪気には笑えないよ……」


雪くん……。