「で、今日はどうしたんだ?俺に用があったんだろ?」
「うん。えっと、ね……」
雪くんが促してくれているにも関わらず、いざ話し出そうとすると、どう切り出していいかわからない。
えっと、その、という意味のない言葉ばかりを繰り返して、一向に進まない。そんなあたしを、雪くんはリラックスさせるみたいに別の話題を振ってくれた。
「そういえば、スミレちゃんや芹香ちゃんと最近どう?」
あ、そうだった。雪くんにも話を聞いてもらってたんだから、報告しておかなくちゃ。
「あのね、ちゃんと“本当の友達”になれたよ。雪くんの言う通り、あたしは2人のことが大好き」
本人であるあたしより、雪くんの方が、あたしの本当の気持ちに真っ先に気づいていた。
そうやって、他の人のことを思いやれる優しさがあるからこそ、それが逆に椿くんを傷つけることになってしまったのかな。
「そっか!よかったな、なずな!俺も嬉しいよ!」
自分のことのように喜んでくれる雪くん。椿くんもそうだったな、似たもの同士だ、なんて思いながらあたしも笑う。
「今度は雪くんの番だよ」