「なんて奴なの……!」
あたしのことが嫌いなら尚更、スミレの味方になったとしてもおかしくない。
全く、してやられた。
悔しくて、思わず愚痴がこぼれる始末。
それでも、両足は一刻も早くスミレのもとへと進み、すぐに教室へ着いた。
「遅いよ、なずなー」
「ギリギリだね」
「授業始まっちゃうよ」
クラスメイトたちが気さくに声をかけてくるので、あたしもそれに軽く応じながら、まずは上がった息を落ち着かせた。
呼吸を整え、改めてスミレの姿を探す。
……居た。普通にいつも通り、自分の席に座って、優等生らしくもう教科書を眺めている。
八潮さんや、ましてや他のクラスメイトたちと話しているようなところは見られなかった。