直接的な言葉は口にしていないけど、スミレの言わずとしていることが、あたしにはわかった。
今の椿くんは、昔のあたしで。
今のあたしは、昔のスミレの立場。
となれば、今の山茶花くんは……芹香。
あたしがどうでもいいと思っていた芹香と友達になれたのだから、椿くんだって山茶花くんとまた友達になれる、と。
スミレはそう言っているんだ。
「ありがとう、スミレ!そうだよね、大丈夫だよね!」
「うん。それに……」
パッと笑顔になるあたしを見て、スミレはホッとしながら言葉を繋いだ。
「それに、なずなちゃんみたいに、そばで見守ってくれてる人がいたら、間違えることはないと思うよ」
スミレ……。
「そばで見守るだけでいいのかな」
「十分だと思うけどな。その人が誰のことかわからないけど、なずなちゃんが自分の事のように悩んでくれるんだから、その人は幸せ者だよね」
あたしが椿くんに助けてもらった分、今度はあたしが助けたいとずっと思ってた。
でも、あんなふうに言われてしまって。
あたしじゃ、彼の何の力にもなれないんだと。