あたしと別れてひとりになったスミレ。
スミレはあたし以外に特別仲が良い人はいないから、きっと向こうで寂しくなってるはず。
そんなところに、もし八潮さんがひとりで居たら……。
顔から血の気が引く。
スミレは八潮さんと仲良くなりたがっていた。
スミレを引き止めるあたしがいない今を狙って、仲良くなろうとするかもしれない。
仮に、人見知りなスミレにその勇気が出なかったとしても、八潮さんのほうからスミレに話しかけてくる可能性だってある。
早く戻らないと!
椿くんのほうなんて一度も振り返らず、あたしは廊下を走る。
もしかしたら、椿くんはあたしとスミレのさっきの会話を聞いていて。
スミレが八潮さんと友達になりたがっているのを知ったから、あたしと離れさせてチャンスを作ってあげるために、わざとあたしに突っかかってきたのかも。