突然のあたしの申し出に、明らかに戸惑う椿くん。


あたしはブランコから飛び跳ねるように立ち上がり、しゃがんだまま目を丸くしている椿くんの両肩を掴む。


「あたし達が“本当の友達”になれたんだから、椿くんだってきっと大丈夫!親友の山茶花くんと、きっとまた……」


「いいよ、別に」


あたしの言葉を遮ったのは、久しぶりに耳にする椿くんの冷えた低い声だった。


「サッカーはやりたかったからまた始めたけど、あいつのことはもうどうでもいいよ」


にこっと笑いながらそう言うけど、その表情は、あたしに向けてくれる穏やかな笑顔とは少し違う。


なんていうか、心からの笑顔じゃなくて、無理して笑ってる感じ。


“どうでもいい”なんて、これっぽっちも思っていない証拠だよ……。


「椿くんのバカ……。そんな下手な嘘ついて……」


「嘘じゃないよ。それよりさ、俺の力になりたいって言ってくれるなら、俺のお願い聞いてくれないかな?」


今度はあたしが、椿くんの申し出に目を丸くした。