「よかったの?二人共、帰ってっちゃったけど」
「う、うん!」
「ごめんね。俺が邪魔しちゃって」
「椿くんのせいじゃないから!」
抑揚のない声だけど、それなりに気にしてるのか少し申し訳なさそうに見える椿くん。
あたしが慌てて首を横に振ると、ホッとしたのかやっと笑ってくれた。
「3人で出かけてたの?」
「うん。あたしの誕生日を改めてお祝いしてくれて……」
あたしも釣られて笑顔で話し始めるけど、ハッと思い出して我に返る。
「そうなの!あたし、スミレとちゃんと“友達”に……」
「うん、そっか」
穏やかに微笑む椿くんに、胸がドクンと音を立てる。
って、ドクンって何だ。違う違う、あんな話をついさっきまでしてたせいだ。気のせい。
「あのっ、詳しく椿くんに聞いて欲しいんだけどっ……いいかな……」
「むしろ聞かせてほしい」
優しくそう言ってもらえたあたしは顔をほころばせ、この先にある公園へと椿くんを連れていった。