話が逸れてくれたかと思ったけど、芹香によっ軌道修正される。よっぽど恋バナが好きらしい。


「仮になずなはなんとも思ってなかったとしても、椿くんはどうかわかんないよ?なずなのことが好きだから、相談に乗ってくれてたのかも」


「さすがにそんなことはないと思うけど……」


芹香の想像を、あたしは苦笑して否定する。


2人には話してないけど、確かに「嫌いなわけ無い」とは前に椿くんから言われてる。
でも、それがイコール好きには繋がらないし。


あたし自身も、椿くんのことをどう思っているのかはわからない。


あたしの汚い部分を知ってもなお、何度も助けてもらったことは嬉しかったし、支えられていたことも事実。
最初の頃よりも、よく笑いかけてくれるようになった椿くんに、ドキッとしたこともあるけど、それが恋なのかはまだわからなかった。


もしかしたら、それはまだ、“椿くんの問題”が解決していないからかもしれない。


「とりあえず今は、椿くんは恋愛よりサッカーに夢中だと思うよ」


「えー、そうかなー」と口を尖らせる芹香。そんな彼女を、まあまあとスミレがたしなめる。


そうだよ……。
椿くんは、サッカーをまた始めたけど、親友との溝はまだ埋まっていない。


それにあたしも……。


かつての友達、彩芽に対する気持ちには、まだ向き合うことができないでいた。