「私も気になるなぁ。席が隣同士になってから、やっぱり仲良さそうに見えるんだもん」


「それは……」


芹香に加勢するスミレに、あたしはなんて返せばいいかわからなくて、たじろいでしまう。


椿くんと仲が良さそうに見えたのは、“友達”のことで悩んでいたあたしに、椿くんが相談に乗ってくれていたから。ただ、それだけ。


そんなことは正直二人には言いにくい。
そもそもそれ以上も、それ以下もないのだけど、適当にあしらったところで、この話題はすでに2回目だ。うまく逃げられるとは思えない。


「……スミレと芹香とのこと、ちょっと相談に乗ってもらってただけなんだ」


仕方無しに正直に答えると、2人は「そっか」とだけ答える。



「じゃあ、私たちが“本当の友達”になれたのは、椿くんのおかげでもあるんだね」



「え……」


スミレの言葉が予想外で、あたしは目を丸くする。


「椿くんにも、感謝しないとだね」


優しく笑ってそう言ってくれたスミレに、あたしも頷いた。


「でもさー、本当にそれだけ?相談に乗ってもらってたなら尚更、ちょっとは好きになっちゃったりしないの?」