お腹いっぱいになるまでケーキを食べたあたし達。
たぶん、今日食べたケーキの味は、一生忘れない。今までで1番おいしかったような気がする。


楽しかった“お誕生日会リベンジ”は、あっという間に終わってしまい、ケーキ屋さんを出る頃には、辺りはうっすらと暗くなってきていた。


各々の帰路に分かれるところまで歩いていると、ふと思い出したように口を開いたのは芹香。


「プリクラの“大好き”って文字でなんとなく思い出したんだけど、なずなは本当に椿くんのこと何とも思ってないの?」


「っ!?」


唐突に椿くんの名前が出てきたので、あたしは思わず足をもつらせ転んでしまいそうになった。


「び、びっくりした……。何で、急に?」


「なんとなく気になっちゃって」


芹香の質問に、あたしはドキドキするばかり。
まさか、こんなところで椿くんの話題になるとは思ってなかったから余計に。