「うんー。高校生でプリクラ初めてって、なかなか珍しいよね」
あたしは芹香に相槌を打ちながら、慣れてないスミレに落書きを任せるのもあれなので、もう一方の落書きペンを手にする。
どんな言葉を書いて、どんなスタンプを押して、どんなふうにデコレーションをしようか。と考えていると、あたしと芹香の落書きを見守っていたスミレが口を開いた。
「……私、こんなふうに学校帰りにどこかに遊びに行くような友達って、今までいなかったんだ……」
「え……」
制限時間があるにも関わらず、あたしは思わずペンを持つ手を止めてしまった。
「人見知りなうえに、引っ込み思案で消極的なせいで、友達って呼べるような間柄の人ができなくて……」
「そうだったんだ……」
なんと言えばいいのかわからず、あたしはそれしか言えなかったけど、俯き気味だったスミレが突然がばっと顔をあげた。
「だからねっ、私、なずなちゃんに声をかけてもらえて、すっごくすーっごく嬉しかったんだ!」