その日の夜。
あたしは、芹香と電話で話をしていた。
今日のスミレの様子とか、あたしのことは何か話していたかとか。
〈なずな、あたしがスミレと2人で話せるように上手く言おうか?〉
芹香は、あたし達のことをすごく気にしてくれていて、タイミングの掴めないあたしに助け舟を出そうとしてくれる。
気持ちは嬉しい。でも……。
「大丈夫。あたしが自分でやらなくちゃ。芹香に頼ってたらダメだもん」
〈そっか……。わかった、余計なこと言ってごめんね〉
「ううん、ありがとう」
そんなことを話していたら、いつの間にか部屋の時計が深夜の12時を回っていた。
まさか、友達と次の日になるまで話し込む日が来るとは思わなかった。しかも芹香と。
『こんなに素敵な“友達”……他にいないと思 う!この先もう出会えないかもしれないよ!』
クラスメイトに言われたことを思い出す。
本当にその通りだよね。
……ここに、スミレも居てほしい。
だから、明日は絶対、スミレの腕を掴んで引き止めてでも話をしよう。
心から謝るんだ。