椿くんってば、変なの。
あたしが前に進もうとしたのは、椿くんが励ましてくれたからなのに。
あたしのきっかけは椿くんなのに。
そんなあたしが、椿くんの先を行くことなんてまずないと思う。


お互いが、相手に背中を押されたと思ってる?


何それ……おかしくて、でも、嬉しすぎて泣いてしまいそう。
あたしが行動を起こそうとしていたことで、いつの間にか、椿くんがサッカーを始めるきっかけを作っていたことが。勇気を与えられていたことが。


そんなことを耳にしては、あたしもいつまでも足踏みしているわけにはいかない。


「椿くん」


「ん?」


“本当の友達”になりたいのなら、ぶつかっていかなきゃ何も始まらない。
たとえ怖くても、拒まれることがわかっていても。


それが、たぶん、“友達になる”っていうことなんだと、あたしは思うから。


「椿くん、あたしも頑張るからね」


「うん。今の春風さんなら、きっと大丈夫だよ」


ありがとう、椿くん。


あたし、トラウマを乗り越えてみせるよ。