「あたし……?」
驚いて目を丸くするあたしに、椿くんは「うん」と頷く。
あたしのおかげって、あたしは椿くんに何かした覚えなんてない。
それどころか、スミレ達のことで支えてもらってばかりだ。
あたしなんて……。
俯くあたしに気づいたのか、椿くんは穏やかな声で諭すように言った。
「春風さんさ、俺に、染色さんとちゃんと“友達”になりたいって言ってたでしょ?それってさ、春風さんにとってすごく大きな一歩じゃん。実際、八潮さんとは“本当の友達”になれたわけだし」
確かに、保健室であたしは泣きながらそんなことを言ったけど。
でも、あの時だって、椿くんに話を聞いてもらって、あたしは椿くんに何もしてあげられてない。
「でも、そのどこがあたしのおかげなの?」
「勇気づけられたんだよ。春風さんは、ちゃんと前に進もうとしている。だったら俺も、ってさ。まあ、なんていうか春風さんに置いていかれたくなかったって感じなんだよね」
椿くん……。