「とぼけないでよ!」
「本当だよ。俺はただ、染色さんがびっくりした顔してたから、何か春風さんに変なこと言われたのかと思って、助けただけだ」
何それ……あたしが悪いみたいな言い方。
ていうか、結果的に邪魔してるんじゃん。
「そーですか。なら、まあいいですけど、あたしとスミレは別にケンカなんてしてません。もう仲良く話してるところを邪魔するのはやめてくださいね」
「ふーん……」
椿くんは、やっぱり嘲笑うような目をあたしに向ける。
本当に何なの、この人は……!?
自然と、屋上の時みたいに心拍数が上がる。
椿くんは、結構冷めてる感じで感情があまり表に出ないタイプの人みたい。
だから、何を考えているのか本当にわからなくて、なんだか怖い。
「……あたし、もう行くから」
授業も遅れそうだったし、あたしは踵を返して歩き出そうとした。