落ち着く頃には辺りは真っ暗になっていて、あたし達は顔を見合わせて笑い、別れを告げた。


別れ際に芹香に見せた笑顔は、今までの偽物の笑顔なんかじゃなくて、心からの満面の笑みだった。


芹香との個人的なわだかまりがなくなり、穏やかな気持ちでその夜は寝られたものの、翌日……。




「……」


スミレとは相変わらずなので、学校へ向かうと気分が落ちてしまう。


スミレと喧嘩するきっかけになった芹香の問題は、もう解決している。あとは、スミレにそのことを話して、芹香にそうしたように「今までごめん」と謝るだけ。


だけど……。



『芹香ちゃん。あんな子にわざわざ挨拶する必要ないよ』


『……なずなちゃんなんて、大嫌い』



怖い。また避けられてしまいそうで。


あたしはスミレに嫌われてしまったんだ、今更謝ったところで……。


そう思ってしまって、芹香の時のように踏み出すことができないでいた。