最後まで言い終わらないうちに芹香に遮られ、その直後、あたしは芹香に抱きしめられていた。
「うっ……ぐすっ……芹香……?」
あたしが名前を呼ぶと、芹香はあたしを放す。
真正面から見た芹香の顔は、あたしに負けないぐらい涙でぐっしゃぐしゃだった。
「もちろんだよ!!ていうか、当たり前!! わざわざそんなこと聞くなんて、馬鹿だよなずな!!」
「せり……っ!」
あたしの両肩をがしっと掴んで、言い聞かせるみたいに必死な芹香。
「なずなに聞かれなくたって、私はなずなと、それからスミレと、ずーっとずーっと“友達”でいるつもりだよ!!」
馬鹿だよ、なずなは馬鹿だ、と繰り返しながら、芹香は再びあたしを抱きしめる。
「うっぐ……ありがとぉっ……!」
その温もりと、優しくてまっすぐな言葉が嬉しくて、涙が次から次へと溢れて止まらなくて。
夕暮れの中、あたし達はお互いを強く抱きしめ合いながら、気の済むまで泣いた。