じわりと涙が浮かんで、目の前の景色が揺れる。
こんなところで泣いてる暇はないと思って慌てて拭うと、あたしの目に見覚えのある後ろ姿が現れた。


ポニーテール……間違いない。



「芹香ーーーっ!!」



あたしが名前を叫ぶと、前を歩いていた芹香は驚いたのか勢い良く振り向いた。


「えっ……なずな!?」


駆け寄るあたしに目を丸くしつつも、芹香もあたしのほうに走ってきてくれる。


「なずな、帰り道こっちじゃないよね?どうしたの?」


「芹香っ……芹香に話したいこと……あって……」


「私に?」


不思議そうに首を傾げる芹香。


あたしは、肩で大きく息をしながら呼吸を整えたあと、頭を下げた。



「今までごめんなさい!!」



いきなり謝られた芹香は、訳がわからないのかきょとんと目と口を開けた状態で固まっている。


「なずなに謝られるようなこと何かあったっけ?」


「……あるの。芹香は気づいてないかもしれないけど、一方的に」