「二人共、早く授業行かないと先生に怒られるよ」


「あ!そうだった!」


淡々と椿くんに言われて、スミレが声を上げる。


すぐさま、慌ててあたしを急かしてきたけど。


「スミレ、先に行ってて」


椿くんの、冷めているのに何か企んでいるような妙な笑顔が、なんだか無性にかんに障る。


スミレを先に行かせたあと、あたしは一言文句を言ってやることにした。


「あんたも、早く行かないと」


「……椿くんは?」


「俺は教室に忘れ物したから取りに戻るとこ」


つい警戒心が剥き出しになってしまい、睨むように椿くんを見上げるあたし。
それに対して、椿くんは尚も含み笑いで答える。


「そのついでに、あたしとスミレの邪魔をしにきたの?」


「邪魔?何のこと?」


単刀直入に刺々しく言い放ったけど、彼が動じることは一切ない。
でも、あたしはますますイライラが募っていく。