またひとつ、大きなため息をついた時。
「なずなー!バイバーイ!また明日ねー!」
そんな声があたしの背中に投げかけられ、今度こそゴミ袋が手から滑り落ちた。
振り向くと、さっき帰っていったはずの芹香が、あたしにぶんぶんと両手を振っている。
あたしが玄関に居たことに気づいて、わざわざスミレと別れて1人になってから、戻ってきてくれたのだろうか。
あたしに“また明日”を言う為だけに?
「……っ、また、明日っ……」
込み上げてくる涙を必死でこらえて、あたしも手を振る。
芹香は、そんなあたしを見ると、嬉しそうに微笑んで帰って行った。
どうしてなのよ、芹香。
芹香は、あたしの悪口を言うほどあたしのことが嫌いなんじゃないの?
それなのに何で、一緒にいなくなった今も、あたしに声をかけてくれるの?
考えてもわからないけど、スミレにまるで最初から友達じゃなかったみたいに避けられているあたしは、芹香の言葉に救われているような気がした。