「……っ、つば、き……くん……」


自分でそのことを認めると、何故だか急に涙がこぼれ落ちた。



『私、高校でなずなちゃんに声をかけてもらって、友達になってもらえて、本当に嬉しかったんだ』



スミレ……。


今まで、トラウマにとらわれるあまり、意地になっていたところがあったのかもしれない。
それが、椿くんの言葉によって溶けてなくなつた今、あたしは素直に言える。



「あたし……スミレと仲直りしたい……!また笑って話がしたいよ……スミレはあたしの大好きな“友達”だから……!」



涙でぐしゃぐしゃになりながら、決意を込めてそう言えば、椿くんが目を細めて優しく笑う。



「ん、頑張れ」



重ねられている手と反対の手で椿くんはあたしの頭を引き寄せ、まるであたしにエールを送るみたいに、少し強めにぐしゃぐしゃと頭を撫でてくれた。