「だからさ、春風さんは最初からずっと、染色さんと“本当の友達”になろうとしてたんだよ」


でもトラウマが消えることはないから、建前は“自分が独りにならない為”と言って、傷つくことがないように、自分の立場が悪くならないようにしてた。
それほど、最初から春風さんは染色さんのことが大好きで、一生懸命大切にしようとしてたんじゃないかな。


そう、椿くんが言った。


椿くんの言葉が、あたしの耳を通って脳で理解したあと、心にじんわりと広がっていくように沁み渡る。


「あたしは、ずっと、スミレと“本当の友達”になろうと……」


「うん。傷ついてひねくれた考え方をしながらも、本当はずっと、心のどこかで“本当の友達”が欲しいって思ってたんじゃないかな」


……ああ、だからそうだったのか。


だから、雪くんのあんな言葉を思い出したりしたんだ。



『なずなはスミレちゃんのことも、芹香ちゃん のことも大好きなんだよな』



雪くんは、椿くんと一緒で、あたしのことをす でにお見通しだったのかもしれない。


わかっていたんだ。本当は、誰よりも“本当の友達”が欲しいと思い、スミレとそうなろうとしていたことに。