こんなんじゃダメだと思う反面、もうどうでもいいやと思ってしまうこともある。


“友達”は独りにならない為に自分のそばに置いておく存在。そう思ってスミレと“友達”になったけど、そんな歪んだ考え方は理解してもらえずに嫌われた。


だからといって、今更昔の自分みたいに、“友達”を無条件で信じるなんてあたしにはあまりにも大きすぎる課題だ。到底クリアできそうにもない。



「もう、たぶんあたしには、一生“友達”なんてできないんだと思う」



自嘲気味に笑ってそう言うあたしに、しばらく考え込むように黙っていた椿くんが、やっと口を開いた。


「その“友達”はどっちの意味の“友達”?」


「え……」


椿くんは、「えっと」と、これから言う事を整理しながらあたしに質問をぶつけてきた。


「確かに、今の春風さんの気持ちのままじゃ、心から相手を想い合える方の本当の“友達”を作ることは難しいかもしれないね。
でも、春風さんにとっての“友達”は、ただ一緒に行動するだけの為のものだったんでしょ?そしたら、そんなの染色さんひとりいなくなったところで、いくらでも他にいるんじやない?」