泣いているおかげで嗚咽を繰り返すあたしは、ゆっくりでしか話せない。そのせいで全部を話し終える頃には、授業が終わってしまっていた。


「椿くん……授業……」


「いいよ、そんなこと。俺にとっては春風さんのほうが大事」


“あたしが大事”。
椿くんの言葉に、落ち着いてきたのにまた涙が出てくる。
友達に嫌われるようなあたしを、椿くんはどうしてこんなにも支えてくれるんだろう。


「とりあえず、これで染色さんが春風さんと話さない理由がわかったよ。つらかったね」


「……自業自得なんだろうけど、トラウマを持つあたしにはどうしたらいいのかわかんなかった。でも、それも……彩芽が全部悪いわけじゃなかったなんて……」


いまだに頭と心がついていかない。
彩芽が悪いわけじゃないって頭ではわかっていても、確かに傷つけられたあたしは心が許さない。


彩芽のせいで、あたしはこんなふうになり、スミレともうまくいかなかったんだ、と思うことでしか自分を保つことができなかった。