スミレは、バドミントンのペアがあたしであることを忘れたんじゃないかと思うほど、にこにこと笑いながら芹香と話している。


気まずいと思っているのはあたしだけなのかな。
もしかしたらスミレは、せめて体育の時だけはいつも通りに接してくれたりするのかな。


「……なんて、そんなわけないか……」


頭によぎった考えをすぐに否定する。


“大嫌い”だと、あたしを睨むスミレの顔をここ数日一度だって忘れたことはない。
あたしと目が合っても、芹香だけに挨拶をした時のことも、鮮明に覚えている。


「……」


あたしは、一度着た体育着を脱ぎ始める。
そして、綺麗にたたんだYシャツを手に取り、脱いだ体育着の代わりに着た。


次は体育だというのに、あたしがそんな謎の行動に出たので、近くにいたクラスメイトが不思議そうに問いかけてきた。


「春風さん?次の体育出ないの?」


「……体調悪いから、保健室にいる」


「そっか。じゃあ、先生には言っておくね」