あたしの考えていることがわかっていたかのようなタイミングで、彩芽が涙目になりながら言った。


「私、当時蘭ちゃんのことが怖くて、ずっと逆らえなかった。蘭ちゃんがなずなちゃんのことを嫌ってたから、同じように蘭ちゃんの前では嫌いなフリをするしかなくて。でも、私はなずなちゃんが大好きだったから、なずなちゃんの前では嫌われないようにしてたの」


彩芽は、あたしのことを好きだった?
でも、蘭の前では嫌いなフリをしていた?


唐突なうえ、いっぺんに真実を知らされて、あたしの頭はついていかない。


「何それ……。やめてよ、今になってそんな嘘つくの。だって、あたし、卒業式の前日に聞いたんだから。彩芽が、あたしのことが前から嫌いだったって言ってたの。あれもフリだっていうの?」


あたしの言葉に、彩芽はこくりと頷いた。


「蘭ちゃんにね、なずなちゃんと仲良くしないでって最初に言われた日に聞かれたの。『彩芽ちゃんも、なずなちゃんのこと嫌いだよね?』って。私、蘭ちゃんが怖くて……頷いちゃったの……」


つまり、思っていなかったとしても、彩芽が蘭にあたしのことが嫌いだと、前に言っていたのは本当だったんだ。蘭の怖さに負けて……。


ああ、そうなんだ。そういうことだったのか。