「……なずなちゃんなんて、大嫌い」
頭が真っ白になって、思考が停止して、それでもやっと投げられた言葉の意味を理解したあとは、思いきり殴られたような感覚に襲われた。
嫌われてしまった。とうとう、スミレに。
今までそれだけはないように、なんとかうまくやってきたはずだったのに。
“友達”という意味の認識の違い。
スミレにとっては、自分をそんなふうに思われていたことが何よりもショックだったんだろう。
あんまりよく思い出せないけど、スミレってあんなにも冷たくて怖い顔をする子だったっけ?
いや、あたしがそうさせてしまったのか……。
でもさ、彩芽にとってのあたしがそうだったんだよ。だから“友達”なんてあまり綺麗で素敵なものなんかじゃないと、そう思うしかないじゃない。
でも……それであたしは今、独りぼっちになったんだから、きっと間違っていたんだと思う。
周りにいるデート中のカップル、そして、すれ違っていく“友達”同士で遊びに来てる人達。
そんな中で、独りで呆然と立ち尽くすあたしはあまりにも滑稽でみじめで、じろじろと見られる。
「……帰ろう」