あたしの言葉を聞いた瞬間、スミレは“信じられない”と言いたげな様子で目を見開く。
「なずなちゃんは……私たちのことをずっと……そんなふうに思ってたんだね……」
わなわなと肩を震わせながら、スミレが小さく静かに、だけど今までに聞いたことのない冷たい声で言った。
「なずなー!買ってきた……よ……?」
タイミング悪く、売店から芹香が戻ってきた。
芹香は、そのままあたしのもとに駆け寄ってこようとしたけど、あたしとスミレのただならぬ雰囲気を察して足を止める。
「ど、どうしたの?二人共……」
「芹香ちゃん、行こう」
おろおろしている芹香の手を引き、スミレはあたしと距離を取るように早足で歩いていく。
だけど、追いかけてこないあたしに今度は気づく芹香。
「ちょ、ちょっとスミレ?なずなが……」
芹香が慌てて言うと、スミレは一度足を止め、あたしのほうを振り返って冷たく言い放った。