――バシッ……!


最後まで笑顔で言うと、その直後に左頬に痛みが走った。


驚いてその箇所に触れてみると、じんじんと熱を持っているのがわかる。


目を丸くしながら顔をあげると、涙でぐしゃぐしゃのスミレがいて。



「なずなちゃんが……そんなひどいことを言う人だとは思わなかった……!」



泣いているのに、スミレは怒りで体を震わせていた。


でも、あたしにはわからない。スミレがそこまで怒る理由が。
だから、言い返そうとすると、さっきまで笑顔だったあたしもさすがに顔が歪んでいく。


「スミレこそ、何言ってるの?人のこと言えないじゃん。あたし、知ってるんだから。芹香があたしの悪口言ってるの」


「芹香ちゃんがなずなちゃんの?そんなこと一言も言ったことないよ!」


また、かばった。
あたしじゃなくて、芹香を。


チクリと胸が痛み、視界が歪んで、でも悔しさと怒りのほうが勝ってスミレを睨むあたし。