「あたしは前からずっと、芹香のことが嫌いで、邪魔で仕方がなかったからだよ」
言っていることと表情が合っていないあたしに、スミレは明らかに怖がっている。
どうして、笑顔でそんなことを言えるのか。
芹香のことは、友達だったんじゃないのか。
そんな疑問がわかりやすく引きつった顔に現れ出ている。
「芹香ちゃんが転入してきてすぐに、『八潮さんなんてほっときなよ』って言ってきたのも……」
スミレがか細い声で、まるで答え合わせをしていくみたいに、今までのあたしの言動の意味をやっと理解していく。
「芹香ちゃんに勉強を教えてたら突然入ってきたのも、体育のバドミントンのペアを決める時も……」
「うん」
「3人で遊びに行くってLINEで話して、そのあとの電話で、別に芹香ちゃんが苦手とかじゃないって言ってくれたのって……」
「あんなの、嘘だよ。LINEだって、本当はやめとくって送るつもりだったんだよ」
全部、全部嘘。あたしの嘘に、スミレも芹香もまんまと騙されてくれて、今日まで形だけは“3人”で居られたけど。
でも、限界なんだよ。もう無理だ。