「なずな!置いていっちゃってごめん!」
なんとか自力でお化け屋敷をクリアすると、出口で待っていた芹香があたしのもとに真っ先に駆け寄ってきて、勢いよく頭を下げてきた。
「……」
「お化け屋敷は苦手なわけじゃないはずなんだけど、ここのは思ってた以上に怖くて……つい……。ほんとにごめんなさい!」
「……」
ひとりで怖かったよね、としきりに謝ってくる芹香。
スミレも、一緒に頭を下げてきた。
でも、悪いけど、いくら謝られたところでもう何も響かない。
「な、何かお詫びのソフトクリームでも買ってきます!」
何も答えずだんまりを決め込むあたしに焦った芹香は、またもや売店へと走って行った。
「……いらないわよ、そんなの」
つい心の声が漏れる。
すると、それがスミレに聞こえていたようで、信じられない言葉を返された。
「まあまあ、そう言わずに……。芹香ちゃんも悪気があったわけじゃないし、私も悪かったし……」
あたしは、そんなスミレの言葉に耳を疑うしかなかった。