泣き叫びながらスミレの腕を引っ張って走っていく芹香。


スミレが一度あたしを振り返ってくれたような気がしたけど、あたしは腰を抜かしててすぐには追いかけられないし、スミレはスミレで芹香に引っ張られている。


どうすることもできないまま、スミレと芹香は暗闇へと消えていった。


あたしをここに残して……。


やめてよ、こんな怖いところに取り残さないでよ。
何で言いだしっぺの芹香が一目散に逃げてるのよ。ひどいよ。


……やっぱり、“3人”でこんなところに来るんじゃなかった。


スミレはあたしのことを明らかに気遣ってくれたみたいだったけど、芹香にされるがまま。まさしく彩芽のようで。


でも、そうなってしまったのも全部、芹香のせい。芹香があたし達の前に現れて、あたし達と仲良くなってしまったせいだ。


そう思った途端、あたしの中で何かが崩れ落ちる音がして。


今は、お化け屋敷の恐怖なんてどこかへ行ってしまったぐらい、今は芹香に対する怒りの方が大きくて。


あたしはその怒りに動かされるように立ち上がると、お化け屋敷の中をひとりで歩いていった。