本当は芹香に、「芹香のせいなんだよ。スミレは芹香に断りきれなかったんだよ」って言いたい。
何でそこまでして気遣ってあげるのかが本当にわからない。
あたし達の邪魔者でしかない、あの子のことを。
あたしを遠ざけるために、スミレにあたしの悪口を言っている芹香のことを。
あたしは「わかった」と口を動かすことさえ嫌で、でも仕方無しに首を縦に振った。
承諾したのは、スミレの意見を尊重したかったのと、あたしも悪かったから。
芹香のことばかり考え過ぎて、怖がっているスミレに気づいてあげられなかったあたしのせいでもあると思ったの。
「お待たせ~!」
飲み物を買い終えた芹香が戻ってきた。
「ありがとう、芹香ちゃん」
スミレは優しく微笑んで、冷えたペットボトルを目もとに当てる。
こんな人と笑って話ができることが、あたしは本当に理解できなかった。