きっと、あたしの存在なんて忘れて、あたしなんか最初からいなかったみたいに楽しんで、それでその話を月曜日にあたしの目の前でされるに決まってる。
そうなるくらいなら、我慢したほうがマシ。
芹香のことなんて気にしないで、あたしはスミレと2人で遊園地に来たんだと言い聞かせていればいい。
学校にいる時みたいに、芹香に先を越されないように気を張って、取られそうになれば阻止して。
うん、そうしていれば大丈夫。
そう思っていたあたしだったけど、現実はなかなかそうもうまくいかなかった。
「ぐーぱっ!」
芹香のかけ声と共に、パッと出されたそれぞれの右手。
あたしがパー。スミレと芹香はグー。
「じゃあ、なずなが私たちの後ろね」
「……」
あたしは自分の出した右手のパーを睨みつけて、ジェットコースターに乗り込む。
あたしの前の列には、スミレと芹香が座った。