「なずなちゃん……?」
とっさに話を変えたあたしが気にかかったのか、スミレが丸い目をあたしに向けてくる。
あたしはそれを笑顔でかわした。
……芹香。
芹香には悪いけど、来週の土曜日は、スミレを独り占めさせてもらうよ。
しばらくずっと邪魔されっぱなしだったんだから、1日ぐらいいいよね。
「楽しみだね、土曜日」
小声でスミレにそう言うと、スミレも嬉しそうに微笑みながら頷いてくれた。
「でね、遊園地行くことになったんだ!」
朝のホームルーム直前になり、椿くんがやっと来たので、あたしは来週の土曜日にスミレと遊びにいくことを報告した。
ちなみに、今スミレは芹香に、1時間目に当たりそうなところを教えてあげている。
土曜日はあたしがスミレを独り占めできるから、今日は少しなら芹香に譲ってあげることにした。
「へー、よかったじゃん」
少し眠そうに目をこすりながら、椿くんが笑って言ってくれる。