スミレと芹香のことの根本的な解決になったわけではないけど、今日椿くんに話を聞いてもらって、彩芽の話は聞いてあげようと少しだけ思えた。


たったそれだけのことだけど、あたしにとっては、トラウマを乗り越えられるきっかけになるかもしれない大きな一歩なんだ。


それは、まぎれもなく椿くんのおかげ。



「ありがとう、椿くん。本当に、ありがとう」



だから、もう一度小さくつぶやいた。





次の日。


あたしが学校に着くと、今日は珍しく芹香はいなくて、スミレ1人だった。


「おはよう、なずなちゃん」


「おはよう、スミレ」


あたしの席にパタパタと駆け寄ると、スミレは「そういえば」と口を開いた。


「昨日先に帰っちゃってごめんね」


「ううん、大丈夫」


「それで、椿くんが来る前に何を言おうとしてたの?」


「えっ!」