「俺、本当に何も知らなくてごめん」


「ううん……。あたしだって、椿くんのこと何もわかってなかったから、おあいこ」


「……そっか。そうだな」


あたしになだめられた椿くんは、少し考えて、ぽつりと言った。


「後悔してるかもね、その……彩芽って子」


「え？」


思いもよらなかった言葉に、聞き取れなかったわけじゃないけど思わず聞き返してしまう。


「いや……彩芽さんは何でそんなことを言っちゃったのかなって。だって仲良しだったんでしょ？俺は当時の２人を知らないけどさ」


「だからそれは、蘭と同じであたしのことが嫌いになったからで……」


「うん、それはそうかもしれないんだけど」


椿くんが何を言いたいのかよくわからなくて、首を傾げて頭上にはてなマークを並べるあたし。


椿くんも、うまい言葉が思いつかないようでしばらく唸っていたけど、やっと口を開いた。