中学の時、あたしは彩芽という子と仲が良かったこと。
そのあとに蘭という子が転入してきて、3人グループになったこと。


しばらくして、蘭に嫌われたあたしは、グループの居心地が悪くなってきたこと。
そんな中でも、彩芽はあたしのことを気にかけようとしてくれてたこと。


蘭にされるがままだったけど、彩芽はあたしにとって、信頼のできる“友達”だと思っていたこと。


だけど、本当はあたしのことが嫌いだと、蘭に話していたのを聞いてしまったこと。


それがあって、“友達”は独りぼっちにならない為だけのものに過ぎないと考えるようになったこと。


全部、全部、最初から最後まで。


決して明るい話ではないのに、長い昔話を椿くんは一瞬でも嫌な顔をすることはなく。


「ゆっくりでいいから、続けて」


と、涙で嗚咽混じりになるあたしを、優しく促してくれた。


全てを話し終えると、椿くんは顔を歪ませながら、しきりに背中をさすったり頭をくしゃくしゃと撫でてくれた。