サッカーボールを持っている長めの茶髪の子は、思った通り椿くんだった。
彼の茶髪は染めたわけじゃなくて生まれつきだったんだ、ということがわかった。
「じゃあ、椿くんの隣にいるこの子は……?」
太陽みたいにキラッキラな笑顔で、ダブルピースをして写っている黒い短い髪の男の子。
初めて写真を見た時は聞けなかったけど、今ならなんとなく答えてくれそう。
「……俺の、一番の親友」
親友……ということは、友達の中でも、特別な存在。
あたしの予想通り、椿くんは質問に答えてくれたけど、そのときの表情は歪んでいた。
サッカー部の練習を見ている時みたいな、あの寂しそうで切ない顔……。
「この写真を撮った時は小学6年だけど、俺がこいつと初めて会ったのは、1年生の時だった」
ぽつり、ぽつりと語り出す椿くん。
「同じクラスですぐ仲良くなった。名前は、山茶花(さざんか)」