自己嫌悪って、きっと今のこういう気持ちのことを言うんだと思った。
こんなあたしなんて、椿くんに嫌われてても仕方ないよ。
“嫌い”……か。
「椿くん……あたしのこと嫌いなんじゃなかったの……。それなのに何で……」
いつの間にか彩芽に嫌われていて、気がつけば芹香にも嫌われていた。
確かに、今まであたしは、散々芹香にひどいことをしてたから自業自得だ。
それを椿くんも見ていたから、あたしが考える“友達”の概念が違う椿くんにも嫌われて当然なんだよね。
それなのに、椿くんは今、嘘をつこうとしたあたしを止めてくれただけでなく、泣きじゃくるあたしをただ黙って抱きしめてくれている。
それがどうしてなのか理解できなくて、さっきと似たような質問をもう一度投げかけた。
「確かに、正直言って春風さんに対して嫌っている部分はあるよ。でも、春風さんを見れば見るほど、どうしてそんなふうになってしまったのか知りたくなった。前にも言ったけど、俺と初めて会った時の君は、笑っていたから」