「……好きにすれば」
“嫌だ”という言葉を必死で飲み込んで、代わりにあたしはぶっきらぼうに答えた。
スミレはほっとしたように微笑むと、芹香のほうへスキップしていく。
芹香に事を説明すると、芹香は少し申し訳なさほうにしながらも、「ありがとう」と言ってあたし達と組むことになった。
「やった!澤田さんには悪いけど、3人で組めて嬉しいなぁ!」
芹香が、ラケットを元気に振るいながらにっこにこしている。
その笑顔が、心からの笑顔に見えるから怖い。
芹香はあたしのことが嫌いなはずだから、彼女にとってあたしの存在は邪魔でしかないはずなのに、3人でバドミントンをやることが本当に嬉しいみたいに笑っている。
とんだ演技派女優だな、なんて妙に感心してしまったけど、よく考えたら、芹香も独りぼっちにならなければ何でもいいんだろうなと解った。
「よーし。じゃあ、試合やるよー」
ピピッと笛が鳴り、先生の前に集められると、試合の簡単な説明のあとに、ダブルスの試合が始まった。