プリントにシャーペンを走らせながら、答えを黙々と埋め始めるけど、先程よりもスミレと芹香の話し声が大きくなったような気がしてイライラしてくる。
どうやら、芹香は課題を終わらせたらしい。
終わったあとは、そりゃあ必然的に楽しいお喋りの時間になるわけで。
仕方ないことだけど、明るい声が耳障りでしかない。
「芹香ちゃん、それでね……」
2人の声が耳に届く度に過剰に反応してしまい、神経が逆撫でされる。
手に力が入って、ボキッとシャーペンの芯が折れたのを見て、なんだかこんなことでイライラしている自分が情けなくなった。
自分からひとりで課題することを選んだのに、どうしてこんな気分になるの?
“そんな顔するぐらいなら、やればいいのに……。”
椿くんへ発した言葉は、あたし自身に向けられた言葉でもあるような気がした。