イライラを必死で抑えながら課題を用意して、今日当てられそうなところから中心的に終わらせていく。


でも、集中はできない。


「すげー!なるほど、さすがスミレ。わかりやすい!」


「えへへ、ありがとう」


軽やかな笑い声が、あたしの真反対の席から聞こえてくる。


その度にイライラして、胸がぎゅっと締めつけられたみたいに痛くなって、胃の辺りがムカムカして。


「スミレの隣はあたしのなのに……」


そんな本音が、小さな声で漏れ出た。


でも、スミレはもう、芹香からあたしの悪口を聞いちゃっただろうから、あたしのことなんて……。


同じ空間にいるはずなのに、今まで誰よりも近くにいたはずのスミレが、とても遠く感じてしまった。


気を紛らわそうと、なんとなしに窓の外に目を向けるとあたしは目を丸くした。


「パスくれ!」


開け放った窓からそんな声が聞こえる。


グラウンドでは、サッカー部の人達が朝練の真っ最中で、今はどうやら試合形式の練習をしているところみたい。